きのう全国150ヶ所で「6・11脱原発100万人アクション」と銘打ってデモが行なわれたらしい。といっても東京でさえ集まったのは数千人(主催者発表では2万人)なので、残念ながら100万人には遠く及ばなかったようだ。

それよりも私が今日のニュースで気になったのは、トヨタの豊田章男社長が記者会見で「安定供給、安全、安心な電力供給をお願いしたい。日本でのものづくりが、ちょっと限界を超えたと思う」と訴えたことだ。同じ記事では、NTTデータが首都圏のデータセンターを関西に移転させる計画を関電の節電要請で見直し、海外移転を検討していると報じている。

これから、こういう動きが進むだろう。もともと法人税が高く、雇用規制が厳重で人件費の高い日本に製造業が立地するメリットは少ない。おまけにアジアで最高だった電気代がさらに上がるとなれば、出て行くのは当然だ。こうして労働需要が減ると、非正規雇用が増えて賃金が下がる。それによって最大の被害を受けるのは、このデモで防毒マスクをつけて騒いでいるプータローの若者だ。

このように最下層の若者が自分の首を絞める反政府行動は珍しくない。フランスでは2006年に、解雇規制を緩和する「初期雇用契約」(CPE)が全国的なデモでつぶされた。その主力は、CPEで救済されるはずの少数民族の非正規労働者だった。労働需要は雇用コストで決まるという経済学のロジックを理解できない人々が、自分の雇用を破壊したのだ。その結果、フランスの若年失業率は20%以上と主要国で最悪である。

そして死に体の菅首相は、こういう反原発感情に迎合して首相官邸に反原発の芸能人を集める。こんなことをやって全国の原発の再稼働が遅れると、電力は不足して電気代は上がる。今年中に全国の電力会社で2兆円以上の燃費が余分にかかり、電気料金は少なくとも2割ぐらい上がる。そして企業は海外に逃げ、若者はさらに貧しくなる。いま日本で行なわれているのは、中東の自爆テロと同じく自分の雇用を自分で破壊する「自爆デモ」である。

追記:くだらないコメントがうるさいので、参加人数を訂正した。