ちょっとした気配りが皆をハッピーにさせる宣伝方法

2011/05/10 07:24

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サンドイッチ……?お昼の食事やちょっとした軽食、あるいは夜食としてなど、サンドイッチを食する機会は多い。忙しい時にも気軽に腹を満たすために創られたという由来があるだけに、その手軽さは日本でも大いに受け入れられている。コンビニやスーパーの総菜・弁当売り場でも、おにぎりと相並んで多種多様なサンドイッチを見かけることができる。今回紹介するのは、そのサンドイッチ用のパンを売り込む際に用いられた手法。ちょっとした、そしてお茶目な気配りが的確にターゲットにマッチし、しかも見たお客の気持ちもハッピーになれるというものである(【ADS of the world】)。


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↑ デリカテッセンでの一幕。はかりの上に乗せられている敷き紙・包装紙が今回の宣伝方法
↑ デリカテッセンでの一幕。はかりの上に乗せられている敷き紙・包装紙が今回の宣伝方法

これはルーマニアのサンドイッチ用のパンのブランドHapiHapが展開したプロモーション。ルーマニアではデリカテッセン(サンドイッチ用の惣菜を売る飲食店)でさまざまな惣菜を購入し、自分でサンドイッチを創って食するスタイルが普及しており、毎日300トン以上ものソーセージやハム、ベーコンのようなサンドイッチ用惣菜が売れている。HapiHapにとっても、利用者のハートをつかめれば非常に有益な市場となる可能性を秘めていた。

しかし日々サンドイッチを創っている人たちは、大抵「お気に入りのブランド」を有し、そのブランドのパンを購入する。よほどのメリットが無い限り新参者のHapiHapには見向きもしない。しかし広告を大量に打ち知名度を無理やり上げたり、原価割れのような値引き合戦に参加するほどの酔狂さは持ち合わせていない。さらに、例えばテレビや雑誌に広告を打ったとしても、サンドイッチを創る人、デリカテッセンを利用するような人の目に留まるかどうかまでは分からない。

そこで考え出されたのが、デリカテッセンの包装紙(敷き紙を兼ねている)に広告を打つという切り口。これなら確実にHapiHapを購入してくれるかもしれない客層の手元に届く。何しろ自分でサンドイッチを創るためにデリカテッセンに足を運び、惣菜を購入した人が使う包装紙なのだから。

↑ 包装紙の中央にHapiHapの実物大の写真。基本はこれだけ
↑ 包装紙の中央にHapiHapの実物大の写真。基本はこれだけ

しかも単にごくありきたりなデザインによるHapiHapの広告を打つのではなく、包装紙の真ん中にHapiHapの実物大の写真をぺたりと載せる。メインはそれだけ。もちろんそれのみだとどこのパンかが分からないので、右端に商品名やロゴなどは掲載しているが、凝ったデザインやイラストなどは一切なし。そしてお店の人は、そのHapiHapの写真の上に、上手にお客から注文のあった惣菜を載せていく。お客もそれを見ているから、自分が創るサンドイッチの様子を想像することができるし、「パンにまだまだのせられるわね」「パンの大きさと比べるとちょっと大きいかしら?」といった具合で量の調整も可能となる。


↑ お店の人とやりとりをしながら惣菜購入中。HapiHapの写真が良いスケール代わりにもなる
↑ お店の人とやりとりをしながら惣菜購入中。HapiHapの写真が良いスケール代わりにもなる

そして惣菜を買ったお客が家に持ち帰り、包装紙を開くと、そこにはHapiHapのパン製の疑似サンドイッチの姿を見つけることができる次第。サンドイッチを創るのがますます楽しくなってくるというわけだ。そしてもちろん、まだ利用していない人はHapiHapのサンドイッチ用パンに深い印象を抱くようになる。反復してデリカテッセンで購入すれば、そのたびにHapiHapのパンに包まれた惣菜を目にすることになるのだから、気にならないわけは無い。この「包装紙キャンペーン」を実施した結果、しなかったお店と比べてHapiHapのパンの売り上げは3割も増加したそうだ。

↑ 家に持ちかえって開けてみると「ワオ!」
↑ 家に持ちかえって開けてみると「ワオ!」

この手法の優れているところは、比較的安価で実行できる他に、シンプルで分かりやすく、店員もお客も楽しめるプロモーションである点。さらに包装紙は惣菜と共に各お客が自宅に持ち帰るので、それぞれの自宅にまで公知効果が広がること。もちろん、HapiHapが訴えかけたい客層「惣菜を購入してサンドイッチを自前で作る人」に直接、確実に訴えられることは言うまでも無い。

さらに資料には記載されていないが、このような楽しい包装紙を使ってお客と店員が対話しながら惣菜を切り売りすれば、惣菜そのものもセールスを伸ばしたに違いない。HapiHapそのものの売上だけでなく、惣菜の売上もアップすれば、まさに皆がハッピーになるプロモーションといえるだろう。


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